2020年度 グランプリ賞品紹介③水中ライト WF Smart Focus 1000FR

 

第1回沖縄フォトキャンプ「ジャングルジム」では、フォトコンテストを開催する。

グランプリの賞品として、株式会社フィッシュアイ様より豪華カタログギフトを提供していただいた。

(有限会社イノン様からもグランプリの賞品をご提供いただいているが、そちらについては別の記事で紹介している。)

 

今日の記事では、その中から選べる製品の一つである水中ライト「WF Smart Focus 1000FR」について、上出から紹介したい。

今回のカタログギフトでは、ライト本体と合わせて「WFスヌートレンズWFA61」と「WFマルチカラーフィルターWFA62」もセットで送られることになるので、そちらにも触れていこうと思う。

(スヌートの作例はかなり気合いを入れて撮影した。ある意味このライトの最大の特徴だと思うので、ぜひ最後まで読んでみてほしい。)

 

今回撮影に使用した機材は、以下の通りである。

・Nikon D850

・ノーティカム NA D850(ハウジング)

・AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

・WF Smart Focus 1000FR

 

※製品の詳しいスペック等は、販売元のページをご参照いただきたい。

株式会社フィッシュアイ: WF Smart Focus 1000FR 紹介ページ

 

f22 1/400秒 ISO250 SMC-1使用

 

まずは、「WF Smart Focus 1000FR」の基本的な情報から紹介していこう。

このライトには、以下のような3種類のモードが備わっている。

 

①通常点灯モード

②EFモード(EF=Electric Flash)

③SOSモード&点滅シグナルモード

 

③は撮影とは関係がないのでここでは置いておくとして、①と②について簡単に見ていきたい。

 

 

①通常点灯モード

 

一般的な水中ライトとして使う方法だ。

もちろん、撮影のためだけでなく、サーチライトとして使うこともできる。

 

このライトを使ってみて感じたのは、「こんなに小さくて軽いのに、これだけたくさんの機能が詰まっているのか!」ということだ。

①の通常点灯モードでは、白色光の100%、50%、25%の3段階調光が可能なだけでなく、なんと赤色光の100%と50%の2段階調光も可能。

(実は恥ずかしながら、赤色光というのはライトの外側に赤色のフィルターを付けて作るものだと思っていたので、赤色のLEDがあること自体初めて知って驚いた…。)

 

赤色光は、通常のライト光を嫌がる生物にも有効だと言われている。

下の写真も、白色のライトを当ててしまうとハッチアウトしない(あるいは止まる)こともあると聞いていたので、赤色光を50%で点灯させ、フォーカスライトとして使用した。

 

f14 1/250秒 ISO100  SMC-1/Z-330使用

 

②EFモード

 

EFというのは「Electric Flash」の略で、 カメラの内蔵フラッシュ光やLED光に連動して白色瞬間光を照射するモードである。

簡単に言い換えれば、ライトをストロボのように使えるというところだろうか(もちろん本物のストロボとは違うが)。

 

僕自身は、基本的には常に外付けストロボを付けているため、この使い方は未検証である。

おそらく、TGシリーズなどのコンデジに、ストロボ無しでこの「WF Smart Focus 1000FR」を付けている場合等に役立つ機能なのだと思う。

 

ちなみにこのEFモード、「ライトをストロボのように使える」というだけでなく、「ストロボの発光を感知して消灯する」という機能も備えている。

つまり、一言で「EFモード」と言っても、「ストロボのように一瞬光るモード」と「ストロボに反応して一瞬(1秒)消えるモード」の、2種類を含んでいるのだ。

 

後者の「消えるモード」は、ライティングはストロボで行いたい場合にライト光の干渉を防ぐことができるので、ターゲットライトとして使うには外せない機能である。

実際にストロボ光自動消灯モードを利用して、以下の写真はライティングはストロボで、ピント合わせの補助はWF Smart Focus 1000FRで、という使い方で撮影した。

 

f7.1 1/250秒 ISO64  Z-330使用

 

さて、ここまでこのライトの基本的な機能を紹介してきた。

しかし…本当に伝えたかったのはここから先の話である。

 

 

■スヌート

 

先に述べたが、グランプリの賞品として送られるカタログギフトから「WF Smart Focus 1000FR」を選ぶと、「WFスヌートレンズWFA61」と「WFマルチカラーフィルターWFA62」がもれなくついてくる。

マルチカラーフィルターに関してはまだ作例を撮れていないのだが、スヌートレンズはいくつかのシチュエーションで試すことができた。

そして、正直に言って、この「WF Smart Focus 1000FR」と「WFスヌートレンズWFA61」の組み合わせによって、自分の画作りの幅がかなり広がったように感じている。

 

というのも、僕はこれまでスヌート撮影というものを経験したことがなく、実は今回がスヌート初体験だったのだ。

なので、ある意味ここからは初心者目線のレビューとも言えるだろう。

作例を中心に紹介していくので、是非楽しみながら読んでほしい。

 

f13 1/250秒 ISO64

 

上の写真が、僕が初めて撮影したスヌート写真。

スヌートというと、一部のマニアックな人たちが高度な技術を駆使して撮影していると思っていたが(失礼)、思っていたほど難しくはなくて驚いた。

スヌート撮影にはライトを使う方法とストロボを使う方法の2種類があるが、ライトの方が初心者には向いているのではないだろうか。

 

実はこの写真、手持ちでライトの位置を調整したのだが、ライトなら常にどこに当たっているかがわかるので位置や角度を合わせやすいように感じた。

ストロボでのスヌート撮影は未経験なので何とも言えないが、位置や角度の調整は難しそうだ。

ただ、より大きな光量や瞬間光が必要な場面では、ストロボスヌートが有効なのかもしれない。

 

f9 1/320秒 ISO100

 

上の写真は、「WF Smart Focus 1000FR」をアームとクランプを使ってハウジングに装着して撮影した。

少しでもアングルが変わるとライトの照射位置も変わってしまうため調整は難しかったが、両手でハウジングを持てるという意味では楽だった。

 

ライトに台座や三脚をつけて、カメラとは離して置くという選択肢もあるが、まだそこまでは試せていない。

今のところ個人的には、微調整しやすい手持ちがお気に入りなのだが、ライトを持っている左手を目一杯伸ばさないといけない場面もあるので、手の長さや状況によっては限界があるだろう。

また、カメラを右手だけで持つことになるので、ハウジングをどこかに置くか当てるかして固定しないと正直辛い。

 

ちなみに、上の写真のように被写体だけに光をスポットで当てるには、スヌートレンズの先を被写体にかなり近づける必要がある。

なので、どんな生き物でもこの撮り方ができるわけではない。被写体に応じて、スヌート撮影ができるのか判断することが大切だ。

生き物によっては光にだんだん慣れてくるので、じっくり時間をかけて少しずつ慣らすのもひとつの手だが、それがその生き物にどれだけのストレスをかけているのかは未知数なので、その点の配慮は求められる。

 

f11 1/800秒 ISO160

 

この「フウセンカンザシゴカイ」と対峙した時、「WF Smart Focus 1000FR」と「WFスヌートレンズWFA61」を持っていて良かったと思った。

背景の岩には光が当たらない用、手持ちでライトの角度を微調整した。

 

f13 1/500秒 ISO200

 

スヌート撮影に使うライトの光量が大きくないと、明るい水中で背景を完全に黒く落とすことができない。

上のコケギンポの写真をみていただければわかるはずだが、そういう意味で「WF Smart Focus 1000FR」の光量は必要十分に感じている。

他のライトをスヌート撮影で使ったことがないので比較はできないのだが、この大きさと価格で気軽にスヌート撮影ができて、しかも背景を黒く落とすだけの光量があるというのは、正直感動した。

スヌート撮影を突き詰めていけば他に感じることもあるのだろうが、「初めてのスヌート」にはうってつけのライトと言えるだろう。

 

f11 1/400秒 ISO200

 

一言でスヌートと言っても、これまで紹介してきたような「明と暗」をはっきり分ける撮り方だけではない。

上の作例のように、ライトを少しだけ被写体から離して、明るさのグラデーションを作るような撮り方もあり…だと思っている。

 

f6.3 1/250秒 ISO100  Z-330使用

 

上の写真は、いつも通りストロボで撮影したものだ。

スヌートが好きとか嫌いとか、やっぱりストロボで撮った方が可愛いとか、まあ色々あるだろうが、同じ被写体でも色んなバリエーションで撮れるというのは、素直に楽しい。

是非皆さんも、選択肢の一つとしてスヌート撮影にチャレンジしてみてはいかがだろうか?

 

今日は、「WF Smart Focus 1000FR」の活かし方について、僕なりに紹介してきた。

最後までこの記事を読んでいただき、本当にありがたく思う。

少しでも皆さんの参考になれば嬉しい。

 

 

写真・文:上出 俊作